【SONGS エレファントカシマシ・宮本浩次×爆笑問題・太田光】~衰えぬ奇跡の「声」

デビュー30周年ということで、最近よくTVに出ていらっしゃる宮本先生。

前から感じていたんですが、宮本さんはお笑いの人と絡むと、素の良さが引き出されますね。

古くは『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』のダウンタウン。

あれ以降しばらくの間、宮本さんのエキセントリックな言動だけがいじられてましたが、ちょっと前の『A-Studio』の鶴瓶さんや、今回の太田さんみたいに、きちんとエレカシを聞いてくれている人は、先生へのいじり方にも、温かさを感じます(浜ちゃんも優しかったですけどね)。


エレカシの音楽は、下積みから這い上がってきた大方の芸人さん達には堪らんでしょうし、周囲に異常に気を遣いながら、それでも伝えたいことが山ほどあるというあのもどかしい立ち振る舞いが、「こいつは面倒見たらんとあかん!」と思わせるのかもしれません。

世間の多くは、
・「今宵の月のように」の一発屋
・とにかく落着きがない変なヴォーカリスト

と思っているかもしれませんが、エレカシは間違いなく日本ロック史上に名を残すバンドです。

特に、宮本浩次さんの「声」は、本当に素晴らしい。

パンキッシュかつハードロック唱歌風の初期は、ブレーキとアクセルを同時にべた踏みしたような「がなり唱法」。
文学調の重い歌詞も手伝って、それはそれで素晴らしいものの、聞いているとこちらも苦しくなってくるものでした。

そんな宮本さんの「歌」の凄さに気づかされたのは、アルバム「東京の空」

それまで命を削るかのように声を絞り出していたのが、ここでは喉の奥がパカーンと開いたように声が伸びてきます。
歌詞もこれまでと違って「(日々の鬱屈に)悩んじゃいるけど、生きるしかねぇ!」との開き直り感があり、変化した唱法と抜群の相性を見せます。

「力強く真っ直ぐなまま、ロングトーンでかなりの高音まで出してくる」
こんな男性の歌声は聞いたことがありませんでした。

その後も、たゆまずにアルバムを出してきたエレカシ。

「SONGS」の一番最後、デビュー30周年シングル「風と共に」が演奏されました。

今からおよそ40年前(1976年8月-9月放送)、当時NHK児童放送合唱団に所属していた宮本さんは「みんなのうた」の「はじめての僕デス」で歌手デビュー。
バンドデビュー30周年を迎えた今、再びNHKから依頼を受け、自らの半生を振り返って「みんなのうた」に書き下ろした楽曲です。

序盤、ギターの弾き語りで落ち着いた歌い出し。
宮本さんにしては低めのキー、そっと囁くような歌い方に驚きましたが、やっぱり上手いですね。
変わらず、真っ直ぐ伝わってくる歌に感動します。

そして、凄いのはここから。

飛翔するかのごとくキーがぐんぐんと上がり、壮大な展開へ。
それでもファルセットに逃げることなく高音を出し切るんですよね。

確かに「東京の空」の時に比べると、声は細くなり、倍音は減っています。
でも、そもそも先生の「声」は次元が違います。

デビュー当時は良い声だったのに、段々と音域が狭く、音量は小さくなり、キーを下げて往年の名曲を歌う歌手が多い中、
30年間全力で歌い続けてきて、まだこれだけの声が出ることは「奇跡」としか言いようがありません。

類まれなる才能を持ち、周囲との違和感にもがき続けながらも、常に全力で歌い続けてきた宮本さんの存在は、もはや「芸術」そのもの。

同じ時代を生きていることに感謝したいほどの存在です。